9月29日、神社本庁で政教関係を正す会
(大原康男会長)の役員会・総会・研究会。研究会では研究発表が2つ。長年、靖国神社の訴訟を担当して来られた弁護士の竹野下喜彦氏の「靖国神社参拝訴訟の顛末―靖国神社が被告となった訴訟を中心として」と國學院大學教授の藤田大誠氏の「大嘗祭をめぐる政教問題の回顧と展望」。藤田教授の発表の締め括りは以下の通り。「発表者としては、高森明勅が打ち出した、『天皇の大嘗祭』と密接不可分な『民の大嘗祭』といふ視点と、武田秀章が明らかにした、天皇の全国統治に基づく国家祭祀としての明治大嘗祭の『国民化』『国際化』といふ観点こそ、豊かな『大嘗祭』像の更新をもたらすものと考へてゐる」。わざわざ私の研究に言及して戴き、光栄だ。同30日、ビールと清酒、焼き鳥などを手土産に長男宅へ。寿司の出前を頼んで、「RIZIN 13」をGyaO! PPVで視る。堀口恭司vs那須川天心の試合は前評判に違(たが)わぬレベルの高さ。キックルールで“神童”天心を相手にあれだけの戦いが出来るとは。やはり堀口の強さは本物。試合後、那須川が「人間を相手にしている気がしなかった」と述べていたのも、素直に頷(うなづ)ける。魔裟斗vs山本KID以来の伝説の試合になるだろう。10月1日、第2回立憲民主党「安定的な皇位継承を考える会」(海江田万里会長)へ。昭和から平成への御代替(みよが)わりを、実務の最高責任者として取り仕切られた、当時の内閣官房副長官(事務担当)、石原信雄氏の講演。私が同氏に初めてお会いしたのは平成元年10月だった。官邸に招かれて、現憲法下で最初の皇位継承儀礼をいかに執り行うべきか、私見を述べる機会を与えられた。氏は実に熱心に耳を傾けて下さった(しかも一定程度、実際に採用してくれた)。私がまだ30代になって間もない頃だ。この日の氏の講演の要点は、以下の3点。(1)皇位継承は国民的な課題。(2)それを決して政争の具にしてはならない。(3)基本的な考え方は小泉内閣当時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書を基本とすべし。私も同会議のヒアリングに応じた立場から発言させて戴いた。同氏への質問は次の通り。「旧宮家系男子の新たな皇籍取得を可能にする制度改正を唱える意見が一部にある。政府として、未婚の成年男子がいる賀陽家・久邇家・東久邇家・竹田家の4家の実情や当事者のお考えなどを、具体的に調査しているのか」。それへの回答は「政府が直接そのような調査を行っている事は承知していない。ただ、間接的に聞いているところでは、当事者の人たちも、民間人として生まれ、長年、民間人として暮らして来て、既に意識も生活感覚も民間人になっている。なので、そうした意見には戸惑っているようだ」と。その話しぶりからは、政府にとって旧宮家案は、リアリティのある選択肢とは考えられていなかったようだ。帰り際、私に微笑まれて「岡山には時々帰っておられますか?」と尋ねて下さった。もう随分前(確か平成4年頃のはず)にお会いして以来なのに、私が岡山出身という事まで覚えていて下さるとは驚いた。その後、別件でNHKの取材に応じる。思わず2時間ほども喋ってしまった。
2日は東京新聞の取材が入っている。